アライグマはかわいいけれど、飼育は困難を極める

木にいるアライグマ

前足を水中に入れて獲物を探るしぐさから、その名前が付けられたとも言われるのがアライグマです。

そのタヌキにも似た風貌の可愛さも相まって、昔からペットとしての人気が高く、原産地のアメリカでも飼われているようです。

しかし大きくなるにしたがい、犬や猫とは違った「野生」をみせるアライグマは、一般人には飼育の難しい動物のようです。

アライグマの日本における歴史 〜人気者から害獣へ〜

日本におけるアライグマ 〜「大人気ペット」として輸入される

1960年以降、動物園などで飼育されていたアライグマが脱走する事件が起きました。

その当時から、日本国内では野生繁殖したアライグマがいたと考えられます。しかし、当日はそれほど大きな問題とは考えられていなかったようです。

1980年代になると、テレビアニメ「あらいぐまラスカル」の影響もあってか、ちょっとしたペットブームが起こります。

このころはまだ法規制もなく、多くの一般家庭でアライグマが飼育されました。

成獣の多くがもつ野生

アライグマは人間に飼育されるために「品種改良」などが行われたことがありません。

それでも幼獣のころであれば、飼い主に対して敵意をみせることはないのですが、成獣ともなると気性は荒くなり、飼い主に対して攻撃的になることもしばしばです。

アライグマは身体の大きさに比べて力が強く、さらに牙や爪が鋭いため、飼い主に大きな怪我を負わせることも多くあるようです。

たいていの場合、そうした「野生」を目の当たりにして、飼育しきれなくなった飼い主は、そのアライグマを何らかの手段で放逐してしまいます。

野生化から被害増加 そして「特定外来生物」に指定

アライグマの特徴として、前足を上手に使うことが挙げられます。実際、かなり器用であり、簡単な檻であれば自分で開けてしまうことも少なくありません。

さらに木登りが得意であり、穴を掘ることもできたため、活動範囲がかなり立体的でした。おおよそペットを飼育するためのゲージは、、アライグマにとってその用をなさなかったのです。

飼い主が放逐したにしろ、自ら脱走したにしろ、アライグマが野に放たれて野生化し、その後家畜や農作物などに被害を及ぼすまで、そう長い時間は必要ありませんでした。

こうして「大人気ペット」から「家畜や農作物をねらう害獣」となったアライグマは、2005年に外来生物法が施行されると同時に、特定外来生物に指定され、駆除対象となったというわけです。

アライグマの飼育について

大原則としてペットとして飼育できない

外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)が施行され、アライグマが特定外来生物に指定された現在、日本でこれをペットとして飼育することはできません。

野生化したアライグマを捕獲し、勝手に飼育することはもちろん、そうした個体を譲渡、購入することも、運搬することすら行政の許可が必要になるのです。

もちろん、ある種の機関が研究目的で飼育する場合はありますが、その場合は当然大臣の許可が必要になります。

一般人が唯一アライグマをペットとして飼育する可能性があるとすれば、海外に在住している間ということになるでしょう。

飼育スペースについて

実際には一般人がアライグマをペットとして飼育することは、少なくとも日本国内ではないのですが、それでも知識としてその飼育方法、生態を紹介することはできます。

アライグマは幼獣であれば、飼育スペースは同サイズの犬用ゲージで事足ります。しかし、成長するにしたがいスペースは広く、しかも立体的になっていく必要があります。

日本の一般的な居住環境で成獣のアライグマを飼育するには、かなり大きな家であることが条件になるでしょう。

食性について

とても飼育が難しいアライグマですが、唯一エサについては悩む必要はありません。

元来雑食性のアライグマは、野菜でも果物でも好き嫌いなく食べますし、一般的なドッグフードも抵抗ないようです。

飲み水用の容器に大きなものを使用すれば、アライグマの代名詞である「洗う動作」をみることもできるでしょう。

特に大食漢というわけでもなく、粗食にも耐えることが知られています。

病気について

アライグマには特徴的な感染症のリスクが伴います。特にアライグマ回虫の被害は甚大ですから、定期的な検査は必要になってくるでしょう。

他にも狂犬病などのキャリア動物となりえますが、これは野生化した個体に関する問題であり、放し飼いにしない限り心配する必要はまずないでしょう。

ペットとしての適性はない

飼い主がペットに何を望むのかによりますが、アライグマに「懐くこと」を求めても無駄であると言われます。

人間を好んで襲うわけではありませんが、鋭い牙や爪によって怪我をさせられるリスクは、決して避けることはできないでしょう。

その他のアライグマの基礎記事はこちら → アライグマについて知ろう・基礎項目