ラスカルの悪影響をご存知ですか?

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テレビを観る少女

1977年に放送されたテレビアニメの「あらいぐまラスカル」は、当時視聴率において21.6パーセントという大ヒットを記録しました。

その影響もあってか、ペットとして人気を博したアライグマは、その後大きな問題を引き起こすことになるのです。

ここではアライグマの人気とペットの在り方について考えてみましょう。

あらいぐまラスカルとその影響について

大人気アニメーションの影響

アメリカ人作家のスターリング・ノースが書いた小説「はるかなるわがラスカル」は、少年時代のノースの思い出がそのまま綴られています。

これを原作にした日本テレビのアニメーション「あらいぐまラスカル」のヒットによって、動物のアライグマは瞬く間に人気者となりました。

それまでも一部の愛好家がアライグマを飼育していたようですが、ヒットアニメによってアライグマいう動物の可愛らしさがフューチャーされたことは間違いありません。

ブームがこの問題に拍車をかけたと言えるでしょう。

大量に輸入されるアライグマ

アライグマをみて可愛いと感じた人の多くが、自分もアライグマを飼いたいと考えてもなんの不思議もありませんでした。

もちろん、そこにニーズがあれば供給するのが資本主義経済というものです。

原産地のアメリカからは、多いときで年間1500頭ものアライグマが輸入され、盛んに飼育されるようになりました。

ブリーダーなども確立しておらず、法規制もなかった時代、アライグマを繁殖させて販売することが、簡単なお金儲けの手段であった可能性は否めません。

野生化するアライグマ

多くのアライグマが飼育され、ペットとして飼われていました。しかし、当時アライグマをきちんと管理できるような設備は、どこにでもあったわけではありません。

簡素な犬用ゲージで飼育されていたアライグマは、手先の器用さを駆使して簡単に脱走してしまいます。

さらに成長するにつれて凶暴化し、手に負えなくなった個体が無責任に放逐されることも少なくなかったことでしょう。

人間以外、天敵らしい天敵もいないアライグマは、あっという間に野生繁殖し、個体数を増やしていったのです。

アライグマによる被害と駆除

やがて「尻尾に縞模様があるタヌキ」と認識されたアライグマが、農作物や家畜に甚大な被害を与えるようになります。
北海道の野幌森林公園では、アライグマの影響によってアオサギのコロニーが営巣を放棄する事態が起こります。フクロウやオオタカの巣がアライグマによって荒らされる一方、サンショウウオやニホンイシガメなどの希少種が捕食対象となり、個体数の減少に拍車がかかりました。
こうしてようやく事の重大さが認識され、アライグマは特定外来生物として捕獲駆除対象となっていきます。

影響と原因をもう一度見直す

アニメの影響とはなにか

あらいぐまラスカルというアニメには、確かにアライグマが登場します。しかし、このアライグマは明らかにレッサーパンダに酷似しています。つまりアニメの影響で見た目が可愛いアライグマがペットとして大人気になったというのは、少し無理があるのかもしれません。

さらにアニメにおいて、ラスカルは原作同様「大きくなると気性が荒くなり、手に負えなくなる動物」として描かれています。このことは、ペットとしてアライグマを飼うことを容認しているとは言えないでしょう。

一部物語のラストと同様、「動物は野生に帰すべき」といった解釈で放逐する者がいたことも事実でしょうが、それは「野生生物と人間の共存の難しさ」の表現であり、飼えなくなったペットを放逐することを肯定するものではないはずです。

野生化とその影響が認識されていなかったことが問題

原作でもラスカルは自然に帰されますが、そのことが環境に及ぼす影響については描かれていません。

もちろん原産地のアメリカにおいて、既存種のアライグマが悪影響を及ぼすことなどないのですが、日本ではそれが外来生物となるわけで、その危険性が認識されていなかったことこそ、アライグマの被害を拡大させた最大の原因なのです。

その他のアライグマの被害記事はこちら → 野生化したアライグマの被害とは

配慮に欠けた放逐と後手に回った対策

外来生物が環境に悪影響を及ぼすことなど、1980年当時の誰が予想し得たでしょうか。アライグマの被害を考えるとき、多くの知識人がこのことを主張します。

しかしハブとマングースに代表されるように、外来種が環境に想定外の影響を及ぼすことは知られていたことです。アライグマの脱走に対する対策には、そうした配慮に欠けていた甘さが浮き彫りになっています。

2005年になってようやく外来生物法が施行されたことからもわかるように、対応の遅さは否めません。

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