行政のアライグマ対策

行政

アライグマによる被害によって頭を悩ませているのが各地方自治体です。

その範囲は農作物にとどまらず、畜産業から果ては文化財にいたるまで、さまざまな様相を呈しています。

そうしたなか、ようやく本腰を入れて対策に乗り出した行政の動きを通じ、アライグマ対策問題をみていこうと思います。

アライグマ被害の多い自治体、地方はどこか

アライグマ被害の発端とは

1960年代に日本国内において野外繁殖が確認されたアライグマは、その後繁殖力の強さもあって数を増やしていきました。

愛知県犬山市の日本モンキーセンターが飼育していたアライグマの脱走したのを皮切りに、その後も各地で飼育個体などの脱走、放逐が相次ぎ、結果日本各地にアライグマの野生繁殖が増加していくことになったのです。

しかし驚いたことに、当時脱走したアライグマの捕獲記録や、その後捕獲された個体の飼育と繁殖に関して、正確な記録や写真などはほとんど残されていません。

当時の認識として、その後ここまでに被害をもたらすものとは考えられていなかったのでしょう。

アライグマの被害が多い自治体と地方

野生化したアライグマの正確な個体数を知ることは困難ですが、被害状況と捕獲数から、大まかな状況を割り出すことは可能と考えられます。

環境省のアライグマ防除の手引き(2016年3月改訂)によれば、アライグマの捕獲数がもっとも多い地域は北海道であり、2011年度において、約6400頭が捕獲されています。次いで多いのは兵庫県であり、その数は約3200頭となります。

そのほか1000頭以上を捕獲しているのは埼玉県の約2100頭。さらに長野県の約1600頭、千葉県の約1500頭、和歌山県の約1500頭、神奈川県の約1100頭となっています。

また、地域としてみた場合、北海道の道央部、関東、近畿、九周北部にその分布が集中していることも指摘されています。

その他のアライグマの被害記事はこちら → アライグマの被害を防ぐためにできること

実際に行われている自治体のアライグマ捕獲の流れ

まずは状況を把握すること、問題認識からはじめる

各自治体が出している対策マニュアルを見てみると、アライグマの被害が拡大し、住人からの報告が相次いだとしても、実際に起きている被害が本当にアライグマによるものなのか、さらにどの程度の規模で起きているのかなどを把握しなくては、有効な防除対策を立てることはできないようです。

そうした状況で各自治体がまず行いのは、より多くの住民へのアライグマ問題へ関心を持ってもらえるように促すことなのです。

情報提供の呼びかけと情報収集から分析へ

多くの場合、最初にアライグマからの被害をこうむるのは農村部です。紙ベースの啓発ビラなどを利用した情報収取は、インターネット全盛の時代にあってもやはり有効な手段です。

アンケート調査なども並行してとりおこない、徐々に被害の実態を浮き彫りにしていくとともに、住民のアライグマ被害対策の認知と理解を深めていくことが重要になります。

捕獲実働調査の方法

税金と投じて大規模な防除対策を行うためには、もっとも効果的な方法を取らなければなりません。

そこで収集した情報をもとに、専門家のアドバイスを踏まえた実働捕獲調査を行います。

箱わなやトラップなどを仕掛けて捕獲することにより、より正確なアライグマの実情が明らかになっていくわけです。

この調査は捕獲、つまり個体数減少そのものが目的ではないので、捕獲以外にも定点nカメラによる写真撮影や、地道な痕跡調査も同時並行で行われます。

当然、引き続き啓蒙活動と聞き取り調査は続いており、必要な情報サンプルを集めながら具体的な対策を練る段階となります。

大規模捕獲による防除対策の実地と継続

地域内におけるアライグマのある程度把握された段階で、最も効率的であると思われる場所、時間帯を狙って一斉に捕獲トラップの設置を行います。

当然、設置場所付近の住民には周知徹底することで了解を得ることになりますが、ここでも初期段階の啓蒙活動や協力要請が重要になってくることがわかります。

ときには隣接する自治体との協力を取り付けることで、より広範囲に効果的な防除対策を行うことが出来る場合もあります。

一過性の対策とならないために

防除対策が成功し、当初大きな成果を上げた場合に多く見られるのが、アライグマの個体数の減少とともに、対策そのものにゆるみが出るケースです。

個体数が減少すれば、その後捕獲数も減少するのは当然ですが、そこで対策の手を緩めると、すぐに状況はもとに戻ってしまうのです。

そのとき、警戒心の強いアライグマはさらなる脅威となることでしょう、対策には継続性が求められることになります。